不動産取引における「越境」とその解消方法
不動産の取引に携わっていると、越境という問題とは切っても切れない関係にあることを感じます。
マンションの一室の取引では、通常物件状況報告書に越境の項目は存在しませんが、一戸建てや土地の取引では注意が必要です。
注意と言っても、売主や買主に対して直接注意喚起をするわけではありませんが、営業担当者としては注意が必要です。
土地や戸建の売買では、97%以上が越境問題を抱えていると言われています。
何十年も経った戸建の売買や古くからある土地の売買では、ほぼ必ず越境の問題が発生します。
ただし、越境が売主側から行われている場合と、越境されている場合では解決方法がまったく異なります。
売主側が越境を行っている場合、越境が簡単に解消できるものであれば、売買時に解消を行うことで問題は解決します。
一方、越境されている側である場合は、買主に越境の旨を説明し、了承を得た上で購入を行う形になります。
越境の問題は、正直なところ避けられないものだと考えています。
建物や塀、植樹などの成長によって越境が生じることがあります。
建物や塀は増築や傾きによって越境を引き起こすことがありますが、これらは意図的に行われているわけではなく、越境が発生してしまう事実です。
したがって、不動産の土地や戸建ての取引では、ほぼ常に越境の問題が存在すると考えています。
ただし、越境があったからと言って、取引に不利になるか価値が下がるということはほとんどないと思ってください。
なお、越境問題を解消する方法についてですが、売主が越境を行っている場合、問題が簡単に解決できるものであれば売買時に解消することができます。
一方、解決できない越境の場合は、測量士に依頼し、隣接地所有者と共に正確な測量を行い、越境の具体的な範囲を確認します。
参考ページ:名古屋市不動産売却|土地・戸建売買の越境についての対応方法
境界の確定と越境物の取り扱いについて
隣接地所有者との協議が進んで、将来的に越境物を撤去して再度建築する場合は、越境物を敷地内に収めて建築する旨の覚書を売主様と結びます。
この覚書には、所有者が変わっても効力が継続する旨の文言が含まれており、買主様も同じ権利を継承します。
ただし、隣接地所有者が越境を許可しない場合、測量の問題が生じる可能性があります。
この場合、売主様には解除権利が契約の特約として与えられており、解除することが可能です。
解除権利の存在は、解除することが選択肢としてあることを意味します。
しかし、解除しないで越境物のままで良いという場合は進めることもありますが、このケースはあまり一般的ではありません。
越境物にはさまざまな種類があります。
例えば立木、塀、垣根、雨樋、庇、フェンス、カーポートの支柱、門、建物、擁壁などが挙げられます。